日本遺族会では、令和二年度事業計画で社会奉仕活動の推進として、本会が平成11年度から3年間でミャンマー(旧ビルマ)に建設贈呈した3校の小学校の修繕費用について寄附金を募ることとなりました。
本会は平成11年度に、先の大戦で18万の将兵が散華されたミャンマー(旧ビルマ)の子供たちのために小学校を建設するための基金を創設し、同年度から建設、ヤンゴン市内の北オカラッパ小学校、アキャブ市内のバンドータズー小学校、ペグー市内のカドウインチャン小学校が計画通り建設され、竣工記念式を経てそれぞれ贈呈しました。
本会では戦跡慰霊巡拝や慰霊友好親善事業(遺児巡拝)の際にはその都度小学校を訪問して学用品や衣料等を寄贈してきましたが、建設から二十数年が経過し校舎等も老朽化が進んでいることから関係ご遺族をはじめ広くご遺族の皆様から寄附を募り、修繕費用に充てたいと考えております。
ついては、「ミャンマー小学校修繕募金」として次の通り、口座を開設いたしましたので、ご賛同の方はお振込みをお願いいたします。
・口座番号 三井住友銀行神田支店 当座預金 1015126
・口座名 一般財団法人日本遺族会=ザイ)ニホンイゾクカイ
・募金単位=一口3千円~
日本遺族会青年部は、遺族会の後継者育成を目的とし、青年部が主体となって企画したフィリピン戦跡慰霊巡拝を実施した。全国から参加した孫、ひ孫、甥、姪等46人の団員は、亡き戦没者の足跡を辿り、各地での慰霊祭を経験することにより、戦争の悲惨さ、平和の尊さを語り継ぐ思いを新たにし、青年部として初めての記念すべき慰霊事業となった。
水落敏栄本会会長を総括団長とする日本遺族会青年部フィリピン戦跡慰霊巡拝団は、1月9日、靖国神社に集合し結団式を行い、靖国神社に昇殿参拝した後、A班は成田空港からB班は羽田空港からマニラに入った。
翌朝、A班、B班そろってマニラ市内のリサール公園を訪れ、水落総括団長、畔上和男(本会専務理事)B班団長、北浦基弘(本会青年部幹事)A班副団長、辻正人(本会青年部長)B班副団長が揃って衛兵の誘導でリール記念碑に代表献花し、団員全員が拝礼した。
その後、各班に分かれ、A班はルソン島のリサール公園内日本庭園、東方山地ボソボソ、イポダム、クラーク飛行場跡で、B班はレイテ島のタクロバン、パロ、リモン峠、カンギポット山、ビリヤバで慰霊祭を執り行った。戦没者が辿った激戦の地を目の当たりにし、その苦闘を肌で感じた団員は、慰霊祭で涙ながらに亡き肉親に対して追悼文を読み上げ、英霊の冥福を祈った。
12日、巡拝団は、日本政府が建立したカリラヤの「比島戦没者の碑」にて、在フィリピン日本大使館桑原敦公使、岡田岳大一等書記官参列の下、全戦没者追悼式を挙行した。水落総括団長、桑原公使、辻副団長がそれぞれ追悼の辞を述べ、団員全員が祭壇に献花し、英霊に哀悼の誠を捧げた。
同夜、桑原公使、岡田一等書記官を招いての懇談会を開催した。懇談会は工藤みや子(青森県遺族連合会青年部長)B班団員の司会進行で始まり、巡拝団を代表して辻B班副団長が挨拶し、北浦A班副団長が乾杯の発生をした。今回の戦跡慰霊巡拝を通してお互い兄弟姉妹のように打ち解けた団員は、旅の思い出を語り合い、今後の青年部のあり方等を意見交換するなどして、有意義な懇談会となった。
この日、バタンガス州のタール火山が約四十五年振りに噴火したことにより、巡拝団のフライトが遅延、欠航する事態に見舞われたが、日本大使館、旅行社添乗員の尽力により、B班は十三日の夕刻に、A班は十四日の早朝に全員無事帰国した。
日本遺族会は、12月9日、東京千代田区の自由民主会館にて、第75回全国戦没者遺族大会を開催し、令和2年度政府予算に本会の要望事項が完全実現するよう決議した。大会終了後、関係大臣、自民党所属国会議員らに陳情運動を行い、本会の要望事項は政府予算に概ね盛り込まれた。
大会は午前10時、盛川英治事務局長の司会で始まり、宇田川剱雄副会長が開会を宣言し、国歌斉唱、戦没者に黙とうをささげた。
初めに水落敏栄会長が「令和の御代も平和な時代にする決意と、英霊顕彰、処遇改善、遺骨収集事業等問題解決のため、青年部とともに粘り強く活動してまいります。」と挨拶した。
続いて、高市早苗総務大臣、加藤勝信厚生労働大臣、衛藤晟一一億総活躍・沖縄北方担当大臣、自民党の鈴木俊一総務会長ら来賓が挨拶に立ち、遺族会の要望事項の実現に向け努力することを表明した。
大会は、市來健之助副会長が議長を務め、辻正人青年部長が「現状の遺族会活動に極力参加しそれを知り、恒久平和を自覚すること、我々の声を届けるためにも、そのポジションを維持していかなければならない。戦争を全く知らない我々だからこそ何を求めるかが重要であると考える」と意見発表した。山下裕子常務理事は「組織の総力を結集して、要望貫徹に邁進する」と宣言し、須賀宏江常務理事(女性部長)が八つの決議案を大会出席者に諮り、宣言、決議の両案は承認された。
会場には、多数の自民党所属国会議員が駆け付け、要望実現に向けて熱気あふれる大会となった。
大会終了後、各都道府県遺族代表は、地元選出の自民党所属国会議員に粘り強く陳情し、運動を展開した結果、令和二年度政府予算における戦没者遺族の処遇改善は、公務扶助料・遺族年金等は据え置きとなり、遺骨収集事業、戦没者遺児による慰霊友好親善事業、昭和館の運営に係る経費など概ね本会の要望通り計上された。
青森県遺族連合会が主体となり、全国の事務局長・事務局職員、本会から畔上和男専務理事ら43人が参加して、令和元年度事務局長・職員研修会が、青森市の「ホテル青森」で9月26、26日の両日開催された。
開会式では、はじめに、畔上専務理事が水落敏栄会長に代わり挨拶に立ち「令和に入っての初めての研修会となりますが、今回は28都道府県の方々にご参加いただき感謝いたします。それぞれの支部のおいても、実務、運営等まさに事務局の皆様が要であります。しっかりと種々、情報共有しながら各支部の遺族会の発展と、日本遺族会の今後の事業等々にご理解、そしてご尽力賜れば幸いに存じます」と述べた。続いて、山田周二(宮城県)事務局長協議会幹事長が挨拶。また、齋藤文昭(青森県)理事長が挨拶した。
研修会は山田幹事長が座長となり進められ、英霊顕彰運動、処遇改善運動、今後の遺族会を考える特別委員会アンケート結果等が議題としてあがり、特に青年部の活動や遺骨収集の今後について多くの質問があり、意見が交わされた。最後に、遺族会の運営等、より一層難しい状況が予測されることから、引き続き本部・支部が連携強化を図り、懸案事項解決に取り組んでいくことを再確認し研修会は終了した。
夕刻から開催した懇親会には、東京から水落会長が駆け付けた。参加者はそれぞれの支部が抱える問題等について意見を交換し親睦を深めた。
財務省は、8月30日に提出された各省庁の令和二年度概算要求の総額を104兆9千9百98億円と発表した
本会関係では、戦没者等遺族に対する特別弔慰金の支給に係る支給事務費(支給対象件数、約85万件)12億2千8百万円、遺骨収集事業等の推進として、本年度予算額に対し6億8百万円多い、29億6千9百万円、全国戦没者追悼式への国費参列遺族の増員(各都道府県55人→60人)、昭和館設備の特別修繕費に係る経費一億千百万円など本会の要望事項がほぼ盛り込まれている。特に、遺骨の鑑定などに係るDNA鑑定機器の導入経費や、遺骨鑑定人の現地調査費用、戦没者遺骨に関する研究の推進として形質人類学的鑑定(注・人骨の形態を基に性、年齢、祖先集団などを判定する手法)に係る費用などが大幅に盛り込まれた。
しかし、財務省は「施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化する」とし、年末の予算編成に向けて各省庁の要求を厳しく査定する方針を示している。このため、本会では各支部に対し、要望事項の完全実現に向けてそれぞれの地元における取り組みとして、「地元選出自民党所属国会議員」等に面会し、戦没者の処遇改善に関する本会の要望に理解と協力を求め、次年度政府予算に計上されるよう、全国の戦没者遺族が総力を結集し、年末まで運動を展開して行く。