政府は12月24日午前の閣議で、令和4年度政府予算案を決定した。本会関係では、感染対策を考慮した全国戦没者追悼式挙行経費の増額や、公務扶助料、遺族年金等の据え置きをはじめ、ご遺骨の鑑定等諸経費の増額、戦没者遺児による慰霊友好親善事業の実施等その他の処遇改善項目に係る予算も概ね要求通り計上された。
各省庁が必要な政策を行う予算をまとめた令和4年度予算案を政府は12月24日、閣議決定した。一般会計の総額は107兆5964億円で、令和3年度当初予算から9867億円増え、10年連続で最大を更新した。100兆円を超えるのは4年連続となる。
このような極めて厳しい財政状況下のなか本会は、12月7日に遺家族議員協議会総会に水落敏栄会長らが出席して令和4年度政府予算案に本会の要望事項が盛り込まれるよう陳情を行った。同月13日には自民党ホールでコロナウイルス感染症対策に万全を期して、「第76回全国戦没者遺族大会」を開催し、来賓の国会議員に本会の要望事項の実現を訴えた。
大会終了後、参集した各都道府県遺族代表は、自民党本部、衆・参議院会館などに赴き、地元選出の自民党所属国会議員に戦没者遺族の処遇改善に関するお願い書を手交し、本会の要望事項に対する理解と協力を求めた。そして、全国の遺族代表が一丸となって陳情運動を実施した結果、本会の要望事項は概ね実現した。
令和4年度政府予算における戦没者遺族等への処遇は、財政状況極めて厳しい中において、公務扶助料・遺族年等の据え置きをはじめ、感染防止に配慮した全国戦没者追悼式挙行経費が増額された他、手掛かり情報のない戦没者遺骨の身元特定のためのDNA鑑定費用が本年度予算額に対し8900万円増額され1億2900万円となった。さらには、遺児による慰霊友好親善事業は、令和3年度と同様に17地域・900人を確保した。また、昭和館の運営に係る経費など概ね本会の要望通り計上された。
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日本遺族会は12月13日東京・千代田区の自由民主会館8階ホールに全国の戦没者遺族代表218が参集して2年ぶりとなる第76回全国戦没者遺族大会を開催し、令和4年度政府予算に本会の要望事項が完全実現するよう決議した。大会終了後、関係大臣、自民党所属国会議員らに陳情運動を行い、本会の要望事項は政府予算に概ね盛り込まれた。
大会は午後1時、盛川英治事務局長の司会で始まった。宇田川劔雄副会長が開会を宣言、国歌斉唱に続いて靖国神社の杜に鎮まる246万6千余柱の英霊に感謝の黙祷を捧げた。
初めに水落敏栄会長が「新型コロナウィルスの世界的蔓延により、人が集う事、移動することに制限がかかる暮らしの中で、感染症予防を徹底し、本日二年ぶりに戦没者遺族大会を開催することが出来ました。皆様の『遺族会活動の灯を消すなかれ』とするひたむきなご努力によるものであります。」と挨拶した。
続いて、上川陽子幹事長代理、田畑裕明総務副大臣、古賀篤厚生労働副大臣、尾辻秀久遺家族議員協議会会長ら来賓が挨拶に立ち、遺族会の要望事項実現に向けて努力することを表明した。
大会は市來健之助副会長を議長に選任し、意見発表を江田肇常務理事、大会宣言、決議の両案を山下裕子、國政隆昭両常務理事が朗読し満場一致、拍手をもって採択された。次いで、山田大常務理事の発声で万歳三唱を行い、安齋満常務理事の閉会の辞で大会は終了した。
政府は7月7日の臨時閣議で、令和4年度政府予算の編成に向け各省庁が要求する際のルールとなる概算要求基準を了解し、財務省は8月末に要求を締め切る。これに伴い本会は、戦没者遺族の処遇改善に関する要望事項実現のため、関係省庁への陳情など、本部・各都道府支部一体となって運動を展開している。
8月10日、宇田川剱雄本会副会長は、厚生労働省社会・援護局、総務省を訪ね、令和4年度政府予算に対する本会の要望事項(本紙第846号に掲載)が完全実現されるよう「戦没者遺族の処遇改善に関するお願い書」を手交し、概算要求に盛り込まれるよう陳情した。
厚生労働省では、本多則惠大臣官房審議官らと面会し、新型コロナウイルスの世界的蔓延により海外渡航が困難な状況下、昨年から事業実施目途立がたない戦没者遺児による友好親善事業、戦没者遺骨収集事業の早期再開、平和の尊さを次世代に継承し、世界の恒久平和への願いを発信する「先の大戦に係る戦没者遺族等の記憶及び教訓継承事業」の新設等を要望した。
総務省では、明渡将大臣官房審議官恩給担当と面会し、公務扶助料の改善、特例扶助料の支給率が拡大されるよう陳情した。
また、各都道府県遺族会支部へは、地元選出自民党国会議員が帰省等した際には、直接「お願い書」を手交するなど、概算要求に本会の要望事項が反映されるよう地元での陳情運動の実施を依頼した。
超党派の国会議員で組織する「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(会長・尾辻秀久参議院議員=本会名誉顧問)は、靖国神社春の例大祭に合わせ集団参拝を計画したが、新型コロナウイルス感染症の拡大で急遽、集団での参拝を取りやめ、尾辻会長、水落敏栄事務局長(参議院議員=本会会長)が代表で参拝した。
11月16日、本会は水落敏栄会長以下副会長、専務理事、常務理事、監事が全国の戦没者遺族を代表して靖国神社に参集し「終戦七十五年全国戦没者慰霊祭」を挙行した。先の大戦で戦没された246万余柱のご英霊に尊崇の誠を捧げ、世界の恒久平和を構築するため、一層精進して行くことを誓った。
先の大戦が終結して75年となる今年、全国の戦没者遺族の代表者に参集願い「終戦七十五年全国戦没者慰霊祭」を執り行うことで準備を進めていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の収束の目途が立たないことからやむなく、本会の正副会長らが全国の戦没者遺族を代表して慰霊祭を執り行うこととした。
午前11時、マスクを着用した正副会長他役員らは、靖国神社拝殿の耐震工事により中庭に架設されたテント内に着席し、慰霊祭が開始された。はじめに国歌君が代が流れる中、飛沫防止のため心の中で斉唱。神官による修祓のお祓いを受けたのち、御本殿に昇殿した。献饌の儀の後、斎主が厳かに祝詞を奏上した。
次に水落会長が祭文を奏上、ご英霊に対し「戦争を知らない世代が社会の大半を占める今日、戦争の風化する一方、世界では紛争が絶えず、悲劇が繰り返されている。戦争の悲惨さ、平和の尊さを後世に語り継ぐという遺族会に課せられた社会的責務を果たすため、戦没者の孫、ひ孫等でつくる『青年部』を平成二十九年三月に結成し、活動を重ねている。現在、新型コロナウイルスが猛威を振るい未曽有の危機に直面している。遺族会活動も思うに任せない日々ですが、恒久平和への歩みを止めることのないよう、出来ることを重ね、粘り強く活動してまいります」と決意を述べた。「祭文」はこちら
その後、水落会長が戦没者遺族を代表して玉串を奉奠し、会長に合わせ英霊に冥福を祈り、黙祷を捧げ慰霊祭は無事終了した。