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本会が厚生労働省の委託を受け実施している「戦没者遺留品の返還に伴う調査」事業で、戦没者の遺品の返還運動を推進しているOBONソサエティから本会に照会があった日章旗が、愛知県で遺族に返還された。
日章旗は、カリフォルニア州在住のデブラ・ロバートソンさんが元米兵の義父から譲り受けたもので、今回、愛知県遺族連合会と刈谷市遺族連合会の調査で、フィリピンで戦死した石川玄次さんのものであることが分かり、三女の稲田美子さんが刈谷市に在住していることが判明した。
2月17日、刈谷市役所で返還式が行われ、市長から稲田さんに日章旗が引き渡された。今回の返還で、海軍機関兵曹長だった父親について稲田さんは、「無事に陸に着いていたことが分かって、ある意味ほっとした。亡き母と父自身にこの旗を見せてあげられたら」と話した。
本会が厚生労働省の委託を受け実施している「戦没者遺留品の返還に伴う調査」事業で、戦没者の遺品の返還活動をしているOBONソサエティから本会に照会があった、硫黄島で戦死した大河原三郎さんの日章旗について、群馬県遺族の会が調査し、東京都に遺族がいることが分かり、手元へと届けられた。
日章旗は米フロリダ州在住のリンダ・フリースさんが元米兵の義理の父親から譲り受けたもので、旗と一緒に同封されていた手紙には、「大切な形見の品がご家族のもとへお返しできたことを大変嬉しく思います」と記されていた。
遺族は後日、大河原さんの生まれ故郷である高崎市倉渕町にある菩提寺の東善寺で、慰霊供養を営んだ。姪の佐藤益代さんは硫黄島を2回慰霊に訪れており、「さぞ無念だったのでは。日本を守る一心で出征したと思う。平和のありがたみを感じます」と述べた。
本会が厚生労働省の委託を受け実施している「戦没者遺留品の返還に伴う調査」事業で、戦没者の遺品の返還運動を推進しているOBONソサエティから本会に照会があった遺留品について、愛知県で3件それぞれ遺族に返還された。
ペンシルベニア州在住のグレン・アンダーソンさんが元米兵の祖父から譲り受け保管していた日章旗が、尾張旭市出身で、本邦近海で戦死した水野誠さんのものであることが判明した。12月20日に愛知縣護国神社で柴田愛知県遺族連合会会長から姪の田口美鈴さんに引き渡された。田口さんは「亡くなったお祖母ちゃんが生きていればとても喜んでくれたのでは」と話した。
ニューヨーク州在住のケン・ファレルさんが元米兵の叔父から譲り受けた日章旗が、沖縄本島首里で戦死した瀬戸市出身の滝川十郎さんのものであることが判明した。12月23日に瀬戸市役所市長応接室で伊藤保徳市長から甥の伸康さんに引き渡された。伸康さんは「まさかこんな形で受け取ることができるとは。保存状態もいいので親戚に見せたい」と感慨深げに話した。
ルイジアナ州在住のドナルド・ヘンリーさんが元米兵の義父から譲り受けた日章旗が、西尾市出身で、フィリピンルソン島で戦死した牧藤雄さんのものであることが判明した。一月十六日に西尾市役所で中村健市長から義弟の辰男さんら遺族に引き渡された。辰男さんは「皆が日の丸を持って行ったが、こうした形で帰ってくるのは奇跡で本当にありがたい。」と話した。
本会が厚生労働省の委託を受け実施している「戦没者遺留品の返還に伴う調査」事業で、戦没者の遺品の返還運動を推進しているOBONソサエティから本会に照会があった遺留品について、愛知県と宮崎県でそれぞれ遺族に返還された。
愛知県では、オレゴン州のグレッグ・マーフィーさんが米兵だった父から譲り受け保管していた日章旗が、知多市出身で、西カロリン諸島で戦死した佐藤豊一さんのものであることが判明した。10月11日に知多市役所市長室で宮島壽男市長から甥の佐藤勝則さんに引き渡された。勝則さんは「ご先祖さまや、母、地域の人にお見せし、平和のために使っていだだけるようにしたい」と話した。
宮崎県では、イリノイ州在住のブレンダ・トコピンスキーさんが元米兵の叔父から譲り受けた日章旗が、フィリピンで戦死した延岡市出身の矢山守さんのものであることが分かり、親族の元へ届けられた。受け取った甥の矢山良満さんは「ようやく叔父の魂が生まれ育った場所に帰ってくることができた」と喜び、「仏前に供え、子は孫に二度と戦争を起こしてはいけないことを伝えていきたい」と語った。
日本遺族会が厚生労働省から委託を受けている戦没者遺留品の返還に伴う調査事業は、本事業の協力団体であるOBONソサエティと再委託契約を締結し推進しているところである。今回OBONソサエティ代表が来日し、本会と今後の事業の進め方等について協議するとともに、京都府と静岡県で行われた返還式に出席し、アメリカから持参した遺留品を遺族に引き渡した。
来日したOBONソサエティ共同代表レックス、敬子・ジーク夫妻は、11月19日、日本遺族会事務局を訪れ、本事業担当者と遺留品の効率的な調査方法、調査を実施するうえで直面する問題点等について話し合った。また翌20日には、水落敏栄本会会長、畔上和男専務理事と懇談し、一つでも多くの遺留品を返還できるよう、引き続き協力体制を強化していくことを確認した。
また、今回の来日で、OBONソサエティ代表は、京都府と静岡県で行われた返還式で引き渡す遺留品を持参した。
京都府では、ともにレイテ島で戦死した四方秀雄さんと小林松五郎さんの遺留品が、京都府遺族会の調査で遺族が判明した。11月24日の綾部市公民館での返還式には、四方秀雄さんの遺留品(アルバム)の保管者であるケニア在住のジャラット・チョプラさんが来日し、弟の四方保さんに直接アルバムを引き渡した。保さんは「兄さんお帰り。長い間ご苦労さまでした」と涙しながら、遺品に語りかけた。11月28日には、京都市市役所で、小林松五郎さんの日章旗が甥の小林雅行さんにOBONソサエティ代表から返還された。雅行さんは「これまで遺品も戻ってこなかったが、ずっと供養は続けてきた万感胸に迫る思いです」と話した。
また、静岡県ではニューギニアで戦死した周智郡森町出身の永澤芳雄さんの日章旗が、森町遺族会の調査で遺族が判明した。十一月二十五日に森町役場で開催された返還式で、甥の永澤秋高さんに日章旗が手渡された。受け取った秋高さんは「貴重な寄せ書きが届けられてうれしい。早速、墓前に報告したい」と語った。