政府は12月21日午前の閣議で、令和3年度政府予算案を決定した。本会関係では、感染予防に配慮した全国戦没者追悼式挙行経費の増額や、公務扶助料、遺族年金等の据え置きをはじめ、遺骨収集事業に係る経費、戦没者遺児による慰霊友好親善事業の実施等その他の処遇改善項目に係る予算も概ね要求通り計上された。
厳しい財政状況下のなか11月下旬から本会は、各支部に対してコロナウイルス感染症対策に万全を期して、自由民主党所属地元選出国会議員本人等に対し「戦没者遺族の処遇改善に関するお願い書」を手交し、本会の要望事項実現に対する理解と協力を求める運動を展開するよう要請した。そして、全国の戦没者遺族が一丸となって陳情運動を実施した結果、本会の要望事項は概ね実現した。
令和3年度政府予算における戦没者遺族等への処遇は、公務扶助料・遺族年等の据え置きをはじめ、感染防止に配慮した全国戦没者追悼式挙行経費が本年度予算に比べ3千2百万円増額の1億9千5百万円が計上された。また、遺骨の鑑定実施体制の充実を図るために遺骨鑑定施設設立の準備費が新たに認められた。その他、戦没者遺留品の返還に伴う調査一式費用として1千4百5十万円、遺児による慰霊友好親善事業は令和2年度と同様に17地域・9百人を派遣する予算額、昭和館の運営に係る経費など概ね本会の要望通り計上された。令和3年度政府予算における戦没者遺族処遇改善項目はこちら
令和2年度の援護事業功労者に対する厚生労働大臣表彰の被表彰者が発表され、多年にわたり戦没者遺族、戦傷病者、引揚者等の援護事業に携わった援護事業功労者、百七人が受賞。このうち日本遺族会関係者百四人が栄ある受賞に輝いた。今年度は現下の新型コロナウイルスの感染状況に鑑み、表彰式は開催しないこととなった。
大臣表彰は、昭和四十年五月に第一回目の援護事業功労者に賞状伝達式が行われ現在に至っているが、今年度は、現下の新型コロナウイルスの感染状況に鑑み表彰式は開催せず、田村憲久厚生労働大臣のあいさつ並びに日本遺族会水落敏栄会長の祝辞が添えられ、表彰状と記念品が被表彰者百七人に届けられた。
表彰された本会関係の四十一支部百四人の方々は次の通り。
11月16日、本会は水落敏栄会長以下副会長、専務理事、常務理事、監事が全国の戦没者遺族を代表して靖国神社に参集し「終戦七十五年全国戦没者慰霊祭」を挙行した。先の大戦で戦没された246万余柱のご英霊に尊崇の誠を捧げ、世界の恒久平和を構築するため、一層精進して行くことを誓った。
先の大戦が終結して75年となる今年、全国の戦没者遺族の代表者に参集願い「終戦七十五年全国戦没者慰霊祭」を執り行うことで準備を進めていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の収束の目途が立たないことからやむなく、本会の正副会長らが全国の戦没者遺族を代表して慰霊祭を執り行うこととした。
午前11時、マスクを着用した正副会長他役員らは、靖国神社拝殿の耐震工事により中庭に架設されたテント内に着席し、慰霊祭が開始された。はじめに国歌君が代が流れる中、飛沫防止のため心の中で斉唱。神官による修祓のお祓いを受けたのち、御本殿に昇殿した。献饌の儀の後、斎主が厳かに祝詞を奏上した。
次に水落会長が祭文を奏上、ご英霊に対し「戦争を知らない世代が社会の大半を占める今日、戦争の風化する一方、世界では紛争が絶えず、悲劇が繰り返されている。戦争の悲惨さ、平和の尊さを後世に語り継ぐという遺族会に課せられた社会的責務を果たすため、戦没者の孫、ひ孫等でつくる『青年部』を平成二十九年三月に結成し、活動を重ねている。現在、新型コロナウイルスが猛威を振るい未曽有の危機に直面している。遺族会活動も思うに任せない日々ですが、恒久平和への歩みを止めることのないよう、出来ることを重ね、粘り強く活動してまいります」と決意を述べた。「祭文」はこちら
その後、水落会長が戦没者遺族を代表して玉串を奉奠し、会長に合わせ英霊に冥福を祈り、黙祷を捧げ慰霊祭は無事終了した。
先の大戦の激戦地、硫黄島(東京都小笠原村)で10月24日、硫黄島の戦没者を慰霊し、日米の友好と恒久平和を祈念する、日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式が執り行われた。
式典では、旧日本軍を指揮した栗林忠道中将の孫で新藤義孝元総務相が「全員のご遺骨が故郷にお帰りいただけるよう活動を続けていく」と述べた。米側は「互いに尊重することで命を落とし、傷を負った人々に敬意を表す」と退役軍人代表ノーマン・スミス元海兵隊中将の手紙が読み上げられた。
本会からは、国会議員でつくる硫黄島問題懇話会相談役の水落敏栄本会会長が参列し、献花・献水を行い戦没者に鎮魂の祈りを捧げた。
また、日米合同の顕彰式に引き続き、日本側参列者は日本国政府が建立した天山の硫黄島戦没者の碑に場所を移し、日本側による硫黄島戦没者慰霊追悼顕彰式を執り行い、ご英霊に感謝の誠を捧げご冥福を祈った。