戦没者の孫、甥、姪ら76人が出席
本会女性部は、平成二十三年八月に本会活動を継承する後継者をつくることを提言してから早や五年七ヵ月、全国二十一支部に戦没者の孫等を糾合した青年部が結成された。これを受け三月二十四日、参議院議員会館講堂で全国から戦没者の孫、甥、姪ら七十六人と戦没者の遺児らの出席を得て、日本遺族会青年部の結成式が盛大に行なわれた。
三月二十四日、平日にもかかわらず、北は北海道から南は鹿児島県まで一都一道一府三十五県の青年部代表七十六人と、遺族会役員ら六十一人が参集し、開会前から会場は、若者の熱気で溢れた。
午後一時三十分、坂爪奈美(東京都)氏の司会で始まり、山本良幸(愛媛県)氏の開会の辞、続いて国歌斉唱、黙禱と続き、水落敏栄会長に代わり宇田川剱雄副会長が挨拶した。次いで、三浦妙子女性部長が「女性部は勿論、本部・支部も青年部の活躍を信じて今まで以上に応援を惜しみません。期待しています。皆さんにバトンタッチします」と挨拶した。次いで、自民党を代表して高村正彦副総裁が「遺族会の継承者となられたことは心強い。党として青年部の活動を支える事を約束する」と挨拶。尾辻秀久遺家族議員協議会会長は、「私たちの今があるのは、先の大戦で亡くなられたご英霊のおかげ。その英霊を忘れてはならない。そして語り継いで行かなければならない。その役割をしっかり果たしてほしい」と、青年部への期待を込めた。その後、伊吹文明遺家族議員協議会最高顧問、今村雅弘復興大臣、高市早苗総務大臣、細田博之自民党総務会長、戦没者の孫の議員四人が挨拶した。
次いで、水落会長が挨拶に立ち「日本遺族会創立七十周年の記念すべき今年、青年部を結成する事ができた。平和で豊かな社会に育った世代であるが故に、今後どういった活動をするか模索が続くと思うが、世界の恒久平和を希求する遺族会の社会的責務を後世代に伝える為に、遺児世代と青年部が両輪となって活動して行かなければならない。ご参集の皆さん、どうか、遺族会の活動に力添え願いたい」と青年部への期待を込めた挨拶をした。その後、西山尚利(福島県)氏の青年部立上げまでの経過報告の後、共同代表を代表して辻正人(兵庫県)氏が「おまたせいたしました。青年部、いよいよ一歩踏み出すこととなりました。日本遺族会を継承し、どんな形であれ変化を恐れず、本質をしっかり見極めた青年部にして行きたい。そして、言い訳をせず、行動を起こしながら青年部を盛り上げていく」と決意を述べた。青年部共同代表の紹介の後、衛藤晟一内閣総理大臣補佐官の発声で万歳三唱を行ない結成式は終了した。
その後、靖国神社に赴き青年部結成の奉告参拝を行い、都内ホテルで結成式出席者による懇親会が開かれた。
今後、青年部の一層の活躍が期待される。
ご遺族の皆様にはお元気で新しい年をお迎えのことと拝察いたします。
昨年は熊本地震、鳥取地震や、台風などの自然災害により多くの地域で甚大な被害が発生しました。被災され、いまだ不自由な暮らしを余儀なくされている皆様に心よりお見舞を申し上げます。今後とも政府・与党一丸となって、復旧復興に全力を挙げて参ります。
昨年は天皇皇后両陛下のフィリピンご訪問、オバマ大統領の広島訪問、安倍総理の真珠湾訪問など、世界の恒久平和を願う出来事がたくさんありました。
中でも天皇陛下が象徴としてのお務めについて、直接国民にお話しになられたことに、強い衝撃を受けました。
陛下のお言葉を拝聴し、改めて戦没者とその遺族に対し、常にお心を寄せ続けていただいたことへの感謝と共に、両陛下が身を持ってお示しくださった「戦争の記憶を風化させない」ということを、日本遺族会会長として、いかに取り組んでいくか、重い課題を頂いたと受け止めています。
日本遺族会は本年創立七十周年を迎えます。本会の喫緊にして最大の課題は後継者の育成であり、その為、本会はもとより全国においても、後継者である青年部結成の活動に力を注いでいます。
戦争の風化を防ぎ、平和を語り継ぐことは、私たち遺族会に課せられた社会的責務であり、本会の創設理念であります。平和で豊かな時代に生まれた世代である「青年部」の結成は容易ではありません。しかし両陛下が折に触れお話し下さった「戦争の風化への危惧」「恒久平和の尊さ」を私たち遺族会が決意を新たに粘り強く発信し続けて参りましょう。
また、ご遺骨の収集を「国の責務」と明記した遺骨収集を推進する法律が、昨年三月成立しました。戦後七十一年余りが経過してもなお、未だ一一三万人のご遺骨が海外においてそのままになっている現状を、この法律の報道で知られた方もおられるでしょう。
私は、こうした現実を報道機関や学校教育を通じて伝えることこそが、戦争の悲惨さ、平和の尊さを考えるきっかけになると考えており、この法律にはそうした意義も含まれると思っています。そしてご遺骨の収集が推進されるよう、日本遺族会はこれからもあらゆる協力を重ねて参ります。
最後に昨夏の参議院選挙において、三期目の当選を果たすことが出来ました。加えて安倍改造内閣において、文部科学副大臣・内閣府副大臣を拝命いたしました。改めて皆様に頂戴しました温かいご支援を深く胸に刻み、与えていただいた使命、職責を全うすべく、真に豊かで安定した平和国家構築の為、教育施策の充実に精進努力を重ねて参りますので、引き続きご指導を賜りますようお願い申し上げます。
結びに、ご遺族皆様のご健康と平成二十九年がより良い年でありますことを心から祈念しご挨拶といたします。
本会関係者33支部81人が受賞
平成二十八年度援護事業功労者厚生労働大臣表彰式が十二月八日、東京・霞ヶ関の中央合同庁舎第五号館講堂で挙行された。長年にわたり戦没者遺族、戦傷病者、未帰還者留守家族等の援護救済の事業に携わり尽力された功績が顕著な方々、八十七人が表彰された。このうち日本遺族会関係者は三十三支部八十一人が栄えある受賞に輝いた。
被表彰者を代表して表彰状を受け取る阿部一也氏(本会評議員)=12月8日、厚生労働省で
日本遺族会は、戦没者の遺品の返還活動を続ける米国のNPO団体「OBONソサエティ」に協力しており、今回青森県と高知県で遺族のもとに遺品が返還された。