日本遺族会は本会創立七十周年の記念事業の一環として「アメリカ慰霊施設等視察」を実施した。訪問団は、アメリカの慰霊施設であるハワイ州ホノルルのアリゾナ記念館、バージニア州のアーリントン国立墓地等を視察し、戦没者の冥福を祈り、献花等を行った。また、日系アメリカ退役軍人会、OBONソサエティ代表を招いての懇談会も開催した。
9月21日、宇田川剱雄本会副会長を団長、市來健之助本会副会長を副団長とする訪問団36人は、成田空港に集合し、結団式を行い、夜行便でハワイ州のホノルルへと出発した。日付変更線を超えて、同日の早朝にホノルルに到着した一行は、そのままパールハーバー(真珠湾)に向かった。
米軍の旧格納庫を改装して作られた太平洋航空博物館、艦上で日本の降伏文書調印式が行われたアメリカで最後の戦艦と呼ばれる戦艦ミズーリ記念館を見学した訪問団は、パールハーバービジターセンターで父親が第二次世界大戦に日系部隊として参加した日系米国人と交流した。
その後、日本軍の真珠湾攻撃で撃沈された戦艦アリゾナ及びその乗組員を追悼するために戦艦の真上に建設されたアリゾナ記念館に専用船で渡り、館内で戦死した乗組員の名前が刻まれている石碑に献花した。
22日、米軍兵士が眠る国立太平洋記念墓地で戦没者の冥福を祈り、マキキ日本人墓地で千羽鶴を供え慰霊した一行は、ホノルルを出発しサンフランシスコを経由して、23日、首都ワシントンDCに到着した。
午後、アーリントン国立墓地を訪問し、国の管理の下、アメリカ建国から現在にいたるまで国のために戦い命を捧げた兵士や多くの英雄的存在約30万人が埋葬されている広大な敷地内を循環バスに乗って視察し、訓練された衛兵が24時間交替で警護が続けている無名戦士の墓では、宇田川団長、市來副団長、そしてオレゴン州から駆け付けたOBONソサエティ代表のレックス、敬子・ジーク夫妻が訪問団を代表して花輪を捧げた。
また夜には、日系アメリカ退役軍人会から五人、OBONソサエティ代表の二人を招待して訪問団主催の懇談会を開催した。懇談会では、退役軍人会の出席者による戦時中の強制収容所での体験談等についてのスピーチや、OBONソサエティの日章旗等の遺品返還活動の紹介などがあり、有意義な意見交換の場となった。
すべての日程を終え、所期の目的を達成した訪問団は、26日、無事帰国した。
厳粛かつ盛大に式典を挙行 遺族代表ら460人が参列
天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、日本遺族会創立70周年記念式典が9月19日、東京都港区の明治記念館・富士の間で厳粛かつ盛大に挙行された。内閣総理大臣代理・菅義偉国務大臣をはじめ各界代表、全国戦没者遺族代表ら約四百六十人が出席。本会創立記念式典への両陛下の行幸啓は創立65周年記念式典についで6回目となる。
午前10時、本会の畔上和男専務理事、井上春行事務局主幹の司会で開式。靖国神社に鎮まる英霊に感謝の黙禱を捧げ、宇田川剱雄副会長が開式の辞を述べた。
定刻の10時8分に天皇皇后両陛下が正面玄関にご到着になられ、水落敏栄会長、宇田川剱雄、市來健之助両副会長、江馬潤一郎明治記念館館長がお出迎えした。両陛下は、水落会長の先導で式典会場にご臨場になられた。
渡辺浩二楽長が指揮する皇宮警察音楽隊の吹奏にあわせて参列者は国歌を斉唱、水落会長が両陛下が取組んできた慰霊の旅について「戦没者とその遺族に思いを寄せ続けていただいていることは、誠に感謝に堪えません」と述べた。
その後、内閣総理大臣代理・菅義偉国務大臣(安倍総理、米国出張の為)、大島理森衆議院議長、伊達忠一参議院議長、最高裁判所長官代理・岡部喜代子判事(寺田長官、アジア太平洋最高裁判所長官会議の為)、山田啓二全国知事会代表(京都府知事)からそれぞれ心のこもった祝辞をいただいた。
また、永年、政府の慰霊事業の協力や昭和館の運営等の貢献が認められ、加藤勝信厚生労働大臣から本会に対して感謝状が贈られた。
続いて、日本遺族会会長表彰が行われ、藤安澄夫宮崎県遺族連合会会長が被表彰者百三十一人を代表して、表彰状を受領した。
天皇皇后両陛下のご退場に際し、会場から両陛下の万歳を三唱、両陛下は会釈して、にこやかにお応えになられた。
市來健之助副会長が閉会の辞を述べ、十時五十五分、記念式典はすべて滞りなく終了した。
その後、会場では、会長表彰の被表彰者の名前が紹介された。
戦没者遺児による慰霊友好親善事業のミャンマー地域(1次)の日程が下記の通り変更になりました。
【新日程】平成29年12月12日(火)~12月21日(木)
《旧日程:平成29年27日(月)~12月6日(水)》
日本遺族会は6月13日、東京千代田区・KKRホテル東京で第6回評議員会、第13回理事会を開催した。第6回評議員会では評議員、理事、監事の任期満了に伴う新役員の選任等が審議・承認された。第13回理事会では新たに選任された理事による正副会長、専務理事、常務理事の選定及び顧問の推薦が諮られ、全会一致で決定した。
日本遺族会は、戦没者の遺品の返還活動を続ける米国の「OBONソサエティ」に協力している。今回本会に照会があった元米兵が戦地から持ち帰った日章旗について、持ち主の本籍地である秋田県と茨城県の支部遺族会で調査した結果、それぞれ遺族が判明し、返還式が行われ、日章旗は無事遺族に引き渡された。