日本遺族会は、日本戦没者遺骨収集推進協会が実施している、海外に未だ残されている遺骨に関する情報収集及び遺骨の収容等を行う現地調査に協力している。今回、ビスマーク諸島、ミャンマーの各地域の派遣に対し本会からも参加協力した。
ビスマーク諸島
ビスマーク・ソロモン諸島現地調査第四次派遣は、9月21日から10月5日の期間で実施され、パプアニューギニアのニューブリテン島を調査した。
派遣団は西ニューブリテン州ガルからボートでワレモ(ツルブ)まで移動しながら、旧日本軍が転進した経路上の村落を訪問し、ポスター・パンフレットを配布して現地住民に対し事業趣旨説明、残存遺骨に関する情報提供を呼びかけた。
また、ワレモ村に民泊して、住民の証言に基づき埋葬地を試掘するなどして、推定15柱を収容し、西ニューブリテン州博物館に安置した。
ミャンマー
ミャンマー現地調査第一次派遣は、10月15日から10月30日の期間で実施され、サガイン管区及びチン州で調査した。
派遣団は、ボートを利用してホマリンからカレワまでのチンドゥイン川流域を、またカレーミョから車両で、フォートホワイト、テディム、トンザン等の山岳部の村落を廻り調査した。
また、現地コンタクトパーソンが得た遺骨情報に基づき、カレー県シッチャウク村では遺留品及び歯を含む少量の遺骨を受領し、ホマリン地区タウンダット村では埋葬場所とされている古井戸を試掘したが、遺骨の発見には至らなかった。
日本戦没者遺骨収集推進協会は、9月24日から10月8日の期間で硫黄島遺骨収集派遣(第二回)を実施し、本会からは6名の遺族が参加協力した。
派遣団は、事前に掘削調査立会団が現地調査したうえで選定した壕等で、第一回収集派遣団からの継続壕である、硫黄島北側の為八海岸と外周道路との間にある地下壕、北端コーストガードから北観音付近にかけての外周道路外側の地下壕及び滑走路下地下壕等で収容作業を行なった。
今回派遣団が収容した遺骨は4柱で、遺骨は島内の厚生労働省事務所棟に仮安置された。
なお、派遣団は台風十九号の影響により、予定を一日繰り上げ10月8日に入間基地に無事帰還した。
日本戦没者遺骨収集推進協会は、8月19日から9月3日の期間、旧ソ連地域のハバロフスク地方及びカザフスタン共和国で遺骨収集を実施し、本会も参加協力を行い両地域から42柱の遺骨を収容し帰還した。
旧ソ連抑留中死亡者遺骨収集ハバロフスク地方第2次派遣は、去る七月に実施した第1次派遣に引き続き、コムソモリスクから北へ車で3時間程に位置するソールネチヌイ地区ゴーリン村の第4923野戦病院ゴリン居住地墓地、並びに第5収容所第4923野戦病院墓地で作業に従事した。
埋葬地は、木々に囲まれた広い草むらの平地になっており、重機により筋掘りし手作業で掘削を行う作業が進められ、34柱を収容した。
カザフスタン共和国派遣では、リッデル市地区第347収容所レニノゴルスク市、及びカラガンダのブルハ・ジラウスキー地区第99収容所第14支部サラニイ村の埋葬地において収集作業を行った。
リッデル市は、主要都市カラガンダより東へおよそ800キロの山間部。柵で囲われ草木が生い茂る埋葬地は、ドイツ人墓地と隣接することから慎重に試掘作業が進められたが、遺骨収容には至らなかった。
サラニイ村の埋葬地は、カラガンダ郊外西へ30キロの、地平線が広がる人里離れた広大な草原地帯。気温が氷点下に近い状況での厳しい作業を行い、8柱を収容した。
両派遣団は、9月4日千鳥ヶ淵戦没者墓苑で関係遺族等に出迎えなれる中、遺骨引渡式が行われ厚生労働省職員に遺骨を引き渡した。
日本戦没者遺骨収集推進協会では旧ソ連地域、硫黄島(第一回)遺骨収集、硫黄島掘削立会、マリアナ諸島現地調査を相次いで実施し、本会はそれぞれの派遣に参加協力した。
遺骨収集派遣
旧ソ連
旧ソ連抑留中死亡者遺骨収集ハバロフスク地方第一次派遣は、7月22日から8月6日の期間で、またイルクーツク州・ザバイカル地方の派遣を7月23日から8月6日の期間実施した。
ハバロフスク地方では、3年連続となるソールネチヌイ地区の第4923野戦病院・ゴリン居住地区墓地及び第五収容所第4923野戦病院墓地で収集作業を行い、11柱の遺骨を収容した。
イルクーツク州・ザバイカル地方のイルクーツク州では、ウソリエ・シビルスコエ市にある第32収容所第11支部その二埋葬地で収集作業を実施し2柱を収容、ザバイカル地方においては第520労働大隊ノボパブロフカ地区その二埋葬地で収集作業を行い、6柱を収容した。また、作業と並行して第513労働大隊の埋葬地調査が行われたが、場所の特定には至らず継続調査が必要となった。
派遣団は、8月7日千鳥ヶ淵戦没者墓苑で行われた遺骨引渡式で、厚生労働省職員へ遺骨を引き渡した。
硫黄島
硫黄島では、7月23日から8月7日まで遺骨収集派遣(第1回)が実施され、昨年度より作業継続となっていた防疫給水本部壕などで3柱を収容し、島内の厚生労働省事務所棟に仮安置された
現地調査派遣
硫黄島
硫黄島の掘削立会では、7月15日から9月2日までの間、4回に渡り派遣が行われ、庁舎区域の掘削調査に立会した。
マリアナ諸島
マリアナ諸島では、現地調査第三次派遣を8月20日から31日の間、サイパン島において実施した。
調査では、残存遺骨情報を基に現地調査員と調整を行い、島北部のマッピや中部のキャピタルヒル、南部のチャランカノア等で遺骨情報地点の確認作業を行った。
日本遺族会は、日本戦没者遺骨収集推進協会が実施している、海外に未だ残されている遺骨に関する情報収集及び遺骨の収容等を行う現地調査に協力している。今回、東部ニューギニア、マリアナ諸島、パラオ諸島、ソロモン諸島の各地域の派遣に対し本会からも参加協力した。
東部ニューギニア
東部ニューギニア現地調査第2次派遣は、6月29日から7月13日の期間で、パプアニューギニア・東セピック州及びサンダウン州を調査した。
派遣団は、今回初めてサンダウン州アフア村から徒歩で坂東川流域を踏査し、日本軍野営所跡及び野戦病院跡の確認に努めた。また、東セピック州ワンバ村の墜落機場所及びマンデー村の埋葬地を調査したが、遺骨の発見にはいたらなかった。
マリアナ諸島
マリアナ諸島現地調査第2次派遣は、7月5日から16日の期間で、グアム島を調査した。
派遣団は、現地調査員から寄せられた情報を基に、ラフッニャ洞窟、ニミッツヒル等で遺骨情報地点の確認を行った。また、厚生労働省が現地考古学会社に依頼し、日本人戦没者と鑑定されたアガット、ニミッツヒル、マタパンビーチで収容された遺骨を受領し、日本へ送還した。
7月17日には、厚生労働省で拝礼式が執り行われ、本会を代表して畔上和男専務理事が祭壇に献花した。
パラオ諸島
パラオ諸島現地調査第二次派遣は、7月15日から25日の期間で、ペリリュー島を調査した。
派遣団は、第1派遣に継続して島内のブラッディ・ノーズ・リッジ(天山、中ノ台)、ホワイトビーチ等で残存遺骨の調査を行った。また、ペリリュー州政府に一時保管していた検体用未焼骨遺骨を受領し、日本へ送還した。
ソロモン諸島
ソロモン諸島現地調査第2次派遣は、7月20日から8月3日の期間で実施され、ガダルカナル島を調査した。
派遣団は2つの班に分かれ、第1次派遣の調査結果を基に、一班はタンボハ、ノーティ、カバリ周辺、2班はモカ、タレアイ、タンブレロ周辺を徒歩で踏査し、現地住民の協力を得て、埋葬場所等を試掘し、発見した遺骨の収容に努めた。
今回収容または受領した遺骨は推定101柱で、11月に予定されている収集派遣の実施まで、現地の一時保管場所に安置した。