「戦没者等の遺留品返還に伴う調査」事業で、OBONソサエティから本会に照会があった日章旗について、山形県と福島県で遺族が判明した。
山形県では、日章旗が酒田市から出征し、昭和20年6月20日、フィリピンのルソン島で戦死した佐藤好さんのものであることが判明し、遺族に返還された。
日章旗は、米国ユタ州在住のドナルド・ストルニアーさんが元米兵の義父から譲り受け大切に保管されていたもので、山形県遺族会、酒田市平田遺族会の調査により遺族の所在が分かった。独身で出征した佐藤さんに関する手掛かり情報は少なく、遺族を特定するには半年以上を要した。
9月22日、酒田市地域福祉センターで返還式が行われ、丸山至市長から甥の佐藤厚さんへ日章旗が引き渡された。式には遺族の捜索に尽力した平田遺族会の東海林正会長も出席し、ともに返還を喜んだ。日章旗を受け取った厚さんは「おじのことは写真でしか見たことがないが、相撲が強い人だったと父から聞いている」と話した。
福島県では、米国ノースカロライナ州在住のピーター・シアラーさんがOBONソサエティに遺族の捜索を依頼した日章旗が、いわき市出身で昭和19年2月24日、マーシャル諸島ブラウン島で戦死した青木常雄さんのものであることが分かった。
判明した情報を基に、福島県遺族会、いわき市遺族連合会植田地区遺族会が遺族の所在をつきとめ、10月17日、いわき市の植田八幡神社で行われた返還式で、常雄さんの甥にあたる青木聖一さんに日章旗が引き渡された。
アメリカから届いた日章旗にはシアラーさんから「長い年月が経過してしまい誠に申し訳なく思いますが、日章旗の返還が皆様にとって心に安らぎがもたらされますよう心よりお祈り申し上げます」とのメッセージが添えられており、聖一さんは「終戦から76年が経ち戻ってきて驚いている。関係者に感謝したい」と述べた。