本会が厚生労働省の委託を受け実施している「戦没者遺留品の返還に伴う調査」事業で、戦没者の遺品の返還運動を推進しているOBONソサエティから本会に照会があった軍隊手帳、日章旗が、山形県と兵庫県でそれぞれ遺族に返還された。
山形県では、米国オハイオ州のジェフ・ブラウンさんが、元米兵の父が戦地から持ち帰り譲り受け保管されていた軍隊手帳が、フィリピン・ルソン島で戦死した山形県上山市出身の冨塚光雄さんのものであることが判明し、遺族の所在も特定された。
11月23日に、上山市戦没者遺族会山口武男会長、漆山房夫副会長、薄沢地区冨塚和彦会長の3人が義理の姪にあたる冨塚昭子さんの自宅を訪れ、軍隊手帳を引き渡すと、昭子さんは、涙を流して喜んでいた。
兵庫県では、米国フロリダ州在住のディオン・ブレイジングさんが元米兵の叔父が戦地から持ち帰った日章旗を譲り受け保管していたが、インターネットでOBONソサエティの活動を知り、遺族への返還を希望していた。今回の調査で、日章旗はフィリピン・ルソン島で戦死した兵庫県姫路市出身の山口則敦さんのものであることが判明し、兵庫県遺族会姫路支部が捜索し、長女の小石則子さんが宝塚市に在住していることが分かり、返還に至った。
則子さんは、ブレイジングさんへ宛てたお礼の手紙の中で、「懐かしさのあまり久しぶりに父の頬擦りを受ける思いで、しっかり胸に抱きしめて眠りにつきました」と日章旗が届いた日のことを伝え、「一人でも多くのご家族に私のような喜びと安らぎの日が訪れることを願っています」と綴っていた。