本会が厚生労働省の委託を受け実施している「戦没者遺留品の返還に伴う調査」事業で、戦没者の遺品の返還運動を推進しているOBONソサエティから本会に照会があった日章旗が、岐阜県、兵庫県でそれぞれ遺族に返還された。
岐阜県では、米国カルフォルニア州在住の米国人フランク・ムーアさんとシャロン・ムーアさんが元米兵の父親が戦地から持ち帰り大切に保管されていたのを譲り受けた日章旗が、フィリピンで戦死した岐阜県揖斐川町出身の髙崎正さんのものであることが判明した。10月5日、同町三輪の三輪神社で戦没者追悼式典に合わせて返還式が行われ、富田和弘町長から、従姪の髙崎ひろみさんと夫の武記さんに日章旗が返還された。2人は式典の出席者らと共に旗を広げ、書き込まれた名前をじっくりと確かめていた。
武記さんは「旗に署名してくれた人と、これを持って戦争へ行った正さんはどんな気持ちだっただろうか。今の時代に生まれた僕には全然分からず、言葉がない。大切に保管して子どもたちに伝えていきたい」と声を震わせて決意を語った。
兵庫県では、米国アリゾナ州在住の米国人マイケル・マークランドさんが、元米兵の父親が戦地から持ち帰られたのを譲り受け大切に保管されていた日章旗が、フィリピンで戦死した兵庫県姫路市出身の岡本朝夫さんのものであることが判明し、10月26日に姫路護国神社にて兵庫県遺族会姫路支部長の三木英一支部長と泉和慶宮司立ち合いのもと、甥の岡本明さんに返還された。
朝夫さんは8人兄弟で、その末っ子が明さんの父にあたり、明さんは「亡くなった父から海軍の真っ白な制服を着たおじの話を聞いたことがある。皆さんの思いやりで遺品が帰ってきてありがたい。父が生きている間に見せてやりたかった」と話した。