本会が平成30年度より厚生労働省の委託を受け実施している「戦没者遺留品の返還に伴う調査事業」で、兵庫県と福島県で日章旗の持ち主遺族が判明した。いずれも個人からの問い合わせで判明しており、本事業では稀なケースである。
兵庫県では、フィリピンで戦死した松江寿男さんの日章旗が赤穂郡上郡町に住む長男の実男さんに返還された。
日章旗は青森県むつ市市役所に勤務していた米国人のエイミー・ミラーさんの祖父が保管していたもので、同市役所職員の高島慎吾さんに調査を依頼し、高島さんの知人から本会へ問い合わせがあり、支部遺族会の協力で遺族が判明した。
3月17日、上郡町役場で、高島さんから直接日章旗を受け取った実男さんは、「父がやっと帰ってきたような気がする」と旗に手を合わせていた。
福島県では、ミャンマーで戦死した阿部睦雄さんの日章旗が郡山市に住む遺族に返還された。
日章旗は、オーストラリア人の会社員リアム・チャールズワースさんが祖父から譲り受け保管していたが、遺族への返還を希望しオーストラリア大使館に相談。オーストラリア大使館が防衛省に問い合わせ、海上幕僚監部総務課から本会に照会があり、郡山市遺族会の調査で安部さんの弟の和元さんの所在が分かった。
阿部さんの命日にあたる3月25日に郡山市役所で開催された返還式には、リチャード・コートオーストラリア大使も出席し、日章旗が保管者のチャールズワースさんから和元さんの妻匡子さんに手渡された。