日本遺族会は、厚生労働省の補助事業である「戦没者遺児による慰霊友好親善事業」のフィリピン、ソロモン諸島の2地域を実施した。2地域に総勢93人の遺児が参加した。
フィリピン
宇田川剱雄本会副会長(東京都遺族連合会会長)を総括団長とするフィリピン慰霊友好親善訪問団(全国の遺児代表85人)は11月2日、東京・靖国会館に集合し結団式を行うとともに、靖国神社で旅の安全を祈願した。翌朝フィリピンへ向け出発し、マニラ到着後はそれぞれ縁の地へと向った。
A班はテレサ、タナイ、シニロアン、マリキナ、モンタルバン、ボソボソ、マニラ港(埠頭内)、マニラ市内(オーシャンパーク内)、イポで、B班はシニロアン、ボソボソ、モンタルバン、ハゴノイ、ルセナ、バタンガスで、C班はクラーク、タルラック、ボンドック道、イリサン、サンタクルズ、マシンロックで、D班はバレテ峠、バンバン、バヨンボン、オリオン峠、キャンガン、バナウエで、E班はパナイ島イロイロ方面、ナソ岬方面海岸、セブ島セブ、レイテ島オルモック港(埠頭)、カンギポット、カナンガ、パロ、ドラッグ海岸、ブラウエン旧飛行場跡で、ぞれぞれ慰霊祭を行い、亡き父へ積年の想いを存分に語りかけた。
また、友好親善事業では、各班、訪問先の小学校でサッカーボールや団員が持ち寄った学用品・衣類等を贈呈し、子供たちと交流し心を和ませた。さらに、病院を訪問し車椅子を寄贈し現地の方々との友好親善を図った。
8日、カリラヤの「比島戦没者の碑」前において全戦没者追悼式を挙行し、散華された英霊に感謝と追悼の誠を捧げた。さらに、同夜は日本国大使館代表等を招いて懇談会を開催した。所期の目的を果たした一行は、九日それぞれの想いを胸に帰国した。
ソロモン諸島
中井靖教本会評議員(奈良県遺族会会長)を団長とするソロモン諸島慰霊友好親善訪問団は、11月21日、全国6都県の遺児代表8人が東京・靖国会館に集合し結団式を行い、靖国神社で旅の安全を祈願し昇殿参拝を行った。同夜成田空港を出発し翌朝オーストラリア・ブリスベンを経由して、ソロモン諸島の首都、ガダルカナル島のホニアラに歩を印した。
23日にはマタニカウ川、コカンボナ、ママラ川で慰霊祭を行い、祭壇に故郷から持参した品々を供えて亡き父に語りかけ、午後はニュージョージア島のムンダに移動。24日朝、ホテル前で海を望んで個人慰霊祭を執り行い、亡き父たちの冥福を祈った。小型ボートを借り上げ、スコールと波しぶきの中をコロンバンガラ島方面へ。波の穏やかな海上で艦と運命を共にした父上をはじめ、ご英霊に花やお酒を手向けた。午後には激戦の地となった三角山で積年の思いを語りかけ、懇ろに弔った。
友好親善の一環として、ムンダの小学校でラグビーボールや団員が持ち寄った学用品や衣類等を寄贈、記念の植樹を行うなど明日を担う子供たちと交流を深めるとともに、ホニアラの赤十字特別支援センターでは車椅子等を寄贈し民間外交に務めた。
26日、アウステン山の戦没者慰霊碑で在ソロモン日本国大使館代表の参列のもと、全戦没者追悼式を挙行し哀悼の誠を捧げた。同夜にはセントニコラス小学校教師、児童を招いて懇談会を開催し、交流を深めるなど、所期の目的を果たした一行は、28日無事帰国の途についた。