日本遺族会は、戦没者の遺品の返還活動を続ける米国のNPO団体「OBONソサエティ」に協力している。
今年六月、小原一也氏が戦地に持参した日章旗の調査依頼が本会にあり、小原氏の本籍地である長野県遺族会の協力を得て、小原氏の長男が静岡県にいることを確認した。長男の小原久始さんは、姉や親族が住む故郷の長野県で日章旗の返還を希望された。
日章旗の返還を受けた小原久始さんら親族=10月8日、長野県護国神社で
小原氏の日章旗の返還を依頼された米国人ジェイ・ポロックさんは、元米兵の孫で、祖父が他界後に誕生。ジェイさんにとって会った事もない祖父が戦地から持ち帰った日章旗は、祖父とジェイさんを繋ぐ大切な遺品だったが、今回OBONの活動を知り自分が所有するよりも日本の遺族へ返還するべきだと判断し、家族全員の賛成の元で返還を依頼した。
遺族が判明したことを聞いたジェイさんは小原さんに対し「こうして旗が小原様のご子息に戻ることを知り、ご子息にとって安らかな平和と終止符が訪れることを祈念できますこと、これ以上の喜びはありません。」とメッセージを送った。
十月八日、長野県護国神社で小原氏の親族十人が見守る中、滞りなく返還式は終了した。