ご遺族の皆様には、お元気でお過ごしのことと拝察いたします。かねてより格別のご厚情を賜っておりますこと、衷心よりお礼申し上げます。
さて、この度、第八回理事会、第三回評議員会において日本遺族会会長にご推戴いただきました。
平成十六年、全国のご遺族皆様のご支援により、国会にお送りいただき十一年を迎える本年、日本遺族会会長のお話を賜り、まさに晴天の霹靂、その責務の重大さに、浅学菲才な私に務まるのかと自問自答の日々でございました。
先の大戦で、父を二歳半で亡くした私は、昭和四十六年日本遺族会に奉職させていただき、以来三十二年遺族会の事務局ひとすじに、婦人部、青年部活動、ご遺骨の収集、戦跡慰霊巡拝、遺児による慰霊友好親善事業、ご遺族の処遇改善等に携わらせていただきました。
改めて自らの人生を振り返った時、思い浮かぶのは灼熱のジャングルで汗と涙のご遺骨収集、父たちの戦没地を訪ね山に、川に、海に、遺児の皆で「お父さん」と涙ながらに叫んだこと、年末の政府予算折衝の折、戦没者の妻の方々と自民党本部に座り込んだこと等が昨日のことのように思い出され、私の人生の全てが遺族会の活動そのものであり、私は多くの遺族の皆様に育てていただいて今日の自分があることに改めて気付かされました。
そして終戦七十年である本年に、このような大役を頂いたことに、この身を擲って誠心誠意務めさせていただこうと決意いたしました。
初代会長高橋龍太郎先生は会長就任あいさつで「我々が身を持って体験した戦争の惨苦を再び繰り返さぬよう、平和国家の建設に邁進することこそ我等の進むべきただ一筋の道」とお話しされ、以来この理念の下、日本遺族会はただひたすらに恒久平和を希求する団体として、六十八年の長きに亘り活動して参りました。
遺族会の今後最大の懸案は後継者の育成であります。私は、この尊い団体を次世代へつなぐため、遺族会の精神を深く胸に刻み、偉大なる多くの先輩方のご指導を仰ぎながら、平和への道をひたすら求めて参りたいと思います。
全国のご遺族皆様におかれましては、引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、挨拶といたします。
日本遺族会会長・参議院議員 水 落 敏 栄